特殊建築物等定期調査

建築基準法第12条の規定に基づき、特殊建築物の所有者又は管理者は、建築物の維持保全の不備・不具合等により事故や災害が発生したり、被害が拡大し、第三者に危害を及ぼす恐れがないように、危険を未然に防止する為、調査資格者が定期的に建築物の状況を調査し、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。

特殊建築物等定期調査項目

ヒアリング調査
増築、改築、用途変更等の経過、関連図書の整備状況、調査及び検査の状況、石綿を添加した建築材料の調査状況、耐震診断及び耐震改修の状況、建築物に係る不具合の状況
敷地及び地盤の調査
地盤沈下・不陸・傾斜等の状況、敷地内の排水の状況、敷地内の通路の確保及び有効幅員の確保の状況、門・塀・擁壁等の状況
建築物の外部の調査
基礎の沈下・劣化・損傷の状況、柱・梁・バルコニー・庇・開放廊下・階段の状況、外壁躯体・仕上げ・軒裏・開口部の状況、外壁に取り付けられた広告板・空調室外機等の機器の状況
屋上及び屋根の調査
屋上面の防水保護層の状況、パラペットの立ち上り面・笠木の状況、排水溝・ドレーンの状況、屋根面の状況、機器及び工作物(冷却塔、広告塔等)の状況
建築物の内部の調査
防火区画(たて穴区画、面積区画、異種用途区画)の状況、防火設備(防火戸・防火シャッター等)の状況、床面・壁面・天井面の状況、照明器具・懸垂物等の状況、居室の彩光及び換気の状況、石綿等を添加した建築材料使用の状況
避難施設等の調査
通路の幅・廊下の幅の確保の状況、出入口の確保の状況、屋上広場の状況、避難上有効なバルコニーの状況、避難階段の状況、排煙設備の状況、非常用の照明装置の状況

敷地及び地盤の調査

敷地内には、舗装、門、塀、擁壁、植栽等目視で調査出来るものの他、建築物の機能や環境を維持する為に必要な電気、ガス、給水、など建築物への引込配管や汚水、雨水、雑排水等の排水管及びそれらに付帯する弁類や桝などの設備が設置されている。地中埋設物を設計図書からリストアップして漏れなく調査する。
また、消火や避難に有効なスペース、非常の際の進入口が確保されているか、地盤沈下による地盤の不陸、傾斜、亀裂、断裂等ないか調査をする。

建築物の外部の調査

  1. 基礎の劣化及び損傷、地盤沈下に伴うひび割れ等ないか目視により調査し必要に応じクラックスケールで測定する。
  2. 鉄筋・鉄筋鉄骨コンクリート造の外壁躯体の劣化及び損傷の状況は、柱、梁、壁、バルコニー、庇、開放廊下、階段等について鉄筋の露出著しい白樺、ひび割れ、欠損はないか調査する。
  3. タイル、石張り、モルタル等の外壁は、手の届く範囲をテストハンマーで打診し異常が認められた場合は落下により歩行者に危害を加える恐れのある部分を全面的に打診調査する。
  4. その他伸縮目地、サッシ、はめ殺し窓のガラスの状況、広告塔、空調室外機等の調査をする。

屋上及び屋根の調査

屋上面の調査は防水保護層に劣化、損傷の有無を中心に調査する。伸縮目地(エキスパンションジョイント)の劣化、欠落の状況、パラペットの立上り面及び笠木の劣化、損傷の状況、雨水排水ドレーン及び排水溝の劣化、損傷、不具合等。
屋根の劣化及び損傷の状況、屋根葺き材や緊結金物に割れや、腐食はないか、機器・工作物本体及び接合部の劣化及び損傷の状況、避雷針設備、アンテナ、高架水槽、フェンス、手摺等調査する。

建築物の内部の調査

  1. EV昇降路の防火区画(たて穴区画)が成立しているか。
  2. 鉄筋・鉄骨鉄筋コンクリート造の躯体の劣化及び損傷の状況、鉄筋の露出、白樺の発生、ひび割れ、欠損はないか。
  3. 配電管の防火区画貫通部の充填処理の状況。
  4. 防火戸、防火シャッターが撤去されていないか、「閉鎖作動時の防止機構」は装着されているか、作動時に障害になる物品が置かれていないか。
  5. 彩光面積確保及び換気の為の開口部の面積確保の状況確認、妨げとなる物品の放置、大型家具等で開口部が塞がれていないか確認。

避難施設等の調査

  1. 廊下・階段の幅の確保の状況、法令の規定に適合しているか、階段に手摺が設置されているか。
  2. 2方向避難の状況、バルコニーの隣接住戸への脱出口や下階への避難の為の避難ハッチ等の避難器具が設置されているか、また、隔て板や避難ハッチの上に物品や家具の放置はないか。
  3. 外部鉄骨階段に劣化、損傷、変形、はないか、建物の構造体と固定されているか、テスリにがた付きや変形はないか、床面に不陸や変形はないか。
  4. 非常用の進入口は支障なく使用出来る状態に保たれているか。
  5. 非常用の照明が適正に設置されているか、避難の際に支障はないか、建築設備検査の結果の確認。

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